令和元年6月議会質疑応答

 市政について

o 副議長(土屋 勝浩君)次に、質問第21号、市政について、中村議員の質問を許します。中村議員。

          〔4番 中村 悠基君登壇〕

o 4番(中村 悠基君)本日も是々非々にて、通告に従い質問してまいります。

 まず、3月議会においても質問いたしました政策研究センターとスーパーシティ構想について質問してまいります。市長の肝いりで始まった政策研究センターでありますが、上田市のウエブサイトには、政策研究センターの業務として、1、政策の調査及び研究並びに提言に関すること、2、職員の政策形成能力向上に関すること、3、国、県及び関係機関の政策に関する情報収集に関すること、4、産業振興の研究に関すること、5、その他政策における市長の特命事項に関すること、以上5つが主な業務と記載されております。

 まずは、簡単に政策研究センターの業務内容の全容について説明いたしましたが、さきの議会で私が質問いたしましたスーパーシティ構想についても、政策研究センターでの研究課題となり得ると市長に答弁いただきました。スーパーシティ構想は、最先端のAI、IoTを活用した未来都市の先行実現を行うための特区であり、さまざまな規制を短期間に撤廃できる仕組みを有しており、現在、国会で法整備を進めているところでもあります。

 昨日の政策研究センター長の答弁では、これらの最先端技術の活用等は政策研究センターの最優先事項に位置づけ研究していただけるとのことでした。現在、スーパーシティ構想に関する国家戦略特区法案の提出のため、国会では会期を延長するかどうかという話になるぐらい、総理大臣初め担当大臣が肝いりで進めているものでもあります。では、なぜ国を初め我々会派上志の風も、ここまで熱心にスーパーシティ構想を推し進めるべきというのか。それは、現在行き詰まった数々の地方都市の課題を画期的に解決するための手段になり得ると考えているからであります。例えばこのスーパーシティ特区を使えば、本日、池上議員の質問にもありましたが、遠隔教育を実現すれば不登校の方の教育の機会の確保にもつながります。土屋市政では、半年にも満たない短い期間で目から鼻に抜けるような機を得た政策研究をしていただき、とてもうれしく思います。

 スーパーシティ構想に関しては、入ってきた情報によりますと、既に30以上の自治体が手を挙げており、3月議会で申し上げましたが、最大で5つの自治体しか選ばれないことを考えますと、残りの期間全力で取り組んでいただきたいと思います。しかし、スーパーシティ構想の特区に認定されたからといって、すぐに上田市が変わるわけではなく、それら最新のものを恐れず、使いこなし、常に挑戦し続ける行政の姿勢こそが、上田市を持続可能な都市とならしめるために必要ではないでしょうか。

 そこで、質問いたします。スーパーシティ構想について研究する中で、実現化に向けて課題となる事項はあるか。

 2、スーパーシティ構想を実現するには、国や県との連携や情報収集を戦略的に行う必要があり、昨日の政策研究センター長の役割に関する答弁の中でも、官官の人事交流ということが出てきましたが、まさにその役割を果たすべく、国や県に市職員を派遣する、または国や県から職員を派遣してもらう考えはあるか。

 以上2点質問いたしまして、私の第1問といたします。

o 副議長(土屋 勝浩君)吉澤上田市政策研究センター長。

          〔上田市政策研究センター長 吉澤 猛君登壇〕

o 上田市政策研究センター長(吉澤 猛君)スーパーシティ構想に関するご質問について、順次お答え申し上げます。

 まず、スーパーシティ構想の実現化に向けて課題となる事項についてでございます。スーパーシティ構想については、本年4月以降、内閣府の担当者と面会するなど情報収集に努めておりますが、その中で現在のところ把握している国等の動向や課題等について申し上げたいと思います。

 まず、国の動向や今後の見通しですが、政府は6月7日にスーパーシティ構想の実現に向けた国家戦略特区法改正案を閣議決定しており、今後、国会審議に入る予定と承知しております。改正法案については、現在開催されている通常国会の会期終了日が6月26日のため、今国会中の法案成立は不透明な状況にあります。今国会中に法案成立に至らなかった場合は、7月に予定されている参議院選挙後の臨時国会における継続審議となることが通例でございますが、内閣府の担当者によると、法案成立後は速やかに全国の自治体からの公募により実施エリアを決定するとのことでございます。

 選定する自治体の条件に関して、実施エリアの規模については、特別な定めをしないが、スーパーシティが想定している移動、物流、支払いなどの10領域のうち、少なくとも5領域以上について、AI及びビッグデータ等の活用による最先端技術の実装が不可欠になると聞いております。また、住民合意も必要な条件となっており、特区の指定を希望する自治体は、実施しようとする先端技術の実証事業とともに必要な規制緩和措置を含む事業計画書案をつくり、住民の同意を得た上で国に申請することとなっております。公募後に行われる国による実施エリア決定後は、2025年度を目指し、国主導により、実施エリア内で早急に先端技術の実証事業と技術的基盤の整備が行われていくことになります。

 以上のようなスケジュールや今後の見通しを踏まえますと、まず課題としては、非常に短期間で上田市内で実施区域を決定し、その区域の皆様の同意を得る必要があることではないかと考えております。また、上田市には独自の技術を持つ製造業が集積していることから、これら製造業の皆様との相乗効果をどのように図っていくのか。また、工業分野だけではなく、農業、林業、商業、観光など多くの産業分野の皆様との連携、協力体制をどのように構築していくのかということも早急に検討していく必要があるものと考えております。

 次に、スーパーシティ構想の情報収集に関して、国や県との人事交流についてのご質問です。現在のところ、法案が審議中の段階であり、引き続き内閣府へのアプローチとともに、県との情報共有や他の自治体の動向など情報収集活動を強化してまいりたいと考えております。国や県との人事交流については、法案の審議スケジュール等が明確化され、上田市における具体的な検討に入る段階において、改めてその必要性について検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

o 副議長(土屋 勝浩君)中村議員。

          〔4番 中村 悠基君登壇〕

o 4番(中村 悠基君)ただいまご答弁いただきまして、住民合意が大切ということでございますけれども、そこが一番本当に難しくなってくることかと思います。住民のために導入した最先端技術というものが、住民を置き去りにしていてはだめだと思いますので、ぜひそこら辺に細心の注意を払っていただきながら実行していっていただきたいと思います。

 続きまして、最近の長野県の動きを見ますと、急速に進展するAI、IoTなどの技術を活用して新しいサービスが次々とつくり出されるソサエティ5.0の動きが本格化している中、ほかにおくれることがないようにと先端技術活用推進課を新設し、先端技術の社会実装を統括する最高デジタル責任者を配置し、キャッシュレス決済、シェアリングサービス、第5世代移動通信システム、いわゆる5Gを活用し、地域課題の解決に取り組むと、さきの2月議会で公表されています。これらの動きを見ていますと、国と県が最先端技術を推進していく姿勢であり、あとは市がどんな姿勢で取り組むかが重要になると思います。

 第4次産業革命と言われる昨今は、時代の流れ、スピード感はすさまじいものがあり、時代に乗りおくれることは、競争社会である現代社会においては死活問題であり、行政はスピード感がないと多くの人が口にしているところを耳にする機会がありますが、逆を言えば、慎重に物事を進める行政らしさでもあると思います。もちろんそれら慎重な姿勢が必要とされた時代もありましたが、それは既に過去の遺産であり、現在は全世界とインターネットでつながり、情報は一瞬で世界に伝わる時代であり、行政にあってもスピード感を求められるのも必然であると思います。さらに、時代の先端を行く政策を研究するための部署である政策研究センターには、よりスピード感が求められています。

 そこで、質問いたします。1、県の先端技術活用推進推進課のような部署が必要と考えるが、県の先端技術活用推進課と同様の業務を扱っているのは情報システム課であるか。

 2、政策研究センターは機動的にスピード感を持って行動することが求められる組織であるが、ほかの組織とは異なる体制であるか。また、研究課題の報告する期限をどのように設定しているか。

 3、政策アドバイザーの専門外の研究課題をテーマとする際はどのように取り組むか。また、アドバイザーの増員が考えられるが、見解はどうか。

 以上3点質問いたします。

o 副議長(土屋 勝浩君)吉澤上田市政策研究センター長。

          〔上田市政策研究センター長 吉澤 猛君登壇〕

o 上田市政策研究センター長(吉澤 猛君)順次お答え申し上げます。

 まず、県の先端技術活用推進課のような部署の必要性についてでございます。県の先端技術活用推進課につきましては、県民向けのサービスにAI、IoT、5Gなどの先端技術を積極的に活用するため、本年4月の組織改正で企画振興部に新たに設置された部署と承知しております。

 上田市におきましては、内部の行政事務の効率化を図るため、4月の組織改正において、先端技術の利活用の検討を情報システム課の新たな業務と定めたところでございます。一方で、先端技術の利活用の推進につきましては、業務改善のみならず多様な市民への対応などの地域課題の解決や産業振興などのさまざまな課題がありますことから、本年度の政策研究テーマの一つに位置づけ、情報収集などの取り組みを進めているところでございます。

 今後、先端技術の活用に関する政策研究などを進めていく中で、先端技術の活用による住民サービスの向上と産業振興など効果的に施策を推進していく必要がある場合には、その段階で課、室の新設などによる組織改正や専門人材の登用について検討してまいりたいと考えております。

 次に、政策研究センターの他の部署との違いや研究の報告期限についてのご質問です。政策研究センターの他の部署との組織上の違いについてですが、自治体間競争時代を踏まえ、地域の特色、実情に即した地方創生の実現に向けて、独自の政策立案、提言能力の向上を目的に設置された市長直轄の組織であるという点にあります。

 センターの体制としましては、私、センター長と、その下に副センター長、係長、担当がおり、4名で組織されております。また、センターの事務を円滑に実施するため、外部有識者から1名を政策アドバイザーとして委嘱しております。こうした体制のもと、センターの心構えとして、アンテナを高く、スピード感を重視して業務を進めているところでございます。

 次に、研究課題の報告期限の設定についてですが、今年度の研究テーマとして庁内公募の中から5項目を選定し、そのうち、迅速な施策化、事業化を視野に入れた企画立案のための調査研究として、新技術にかかわるものと業務、制度改革にかかわるものに関して、テーマを2つに絞り込みました。この2つのテーマについては、年度内を目途に報告書をまとめ、市長に提言したいと考えております。

 残りの3つのテーマにつきましては、中長期的な行政課題や仮説検証のための調査研究と位置づけ、複数年かけまして調査研究を行い、提言としてまとめることを想定しておりますが、必要に応じて中間報告という形で市長へ報告することも考えております。

 次に、政策アドバイザーに関するご質問ですが、政策アドバイザーには、この4月から長野県立大学グローバルマネジメント学部教授で公共経営コース長である田村秀氏に就任いただいております。田村氏は、行政学、地方自治、公共政策を専門とされ、大学では公共政策学、公共政策演習、公共経営論等の科目を担当されております。

 田村氏のこれまでの経歴でございますが、旧自治省に入省され、香川県企画調整課や三重県財政課に出向した経験があり、自治省退職後は、新潟大学で教鞭をとる傍ら、上越市のシンクタンク組織である上越市創造行政研究所の研究顧問、現在は、群馬県みなかみ町の参与として自治体の政策形成に携わってこられるなど、地方自治や行政分野に幅広く精通しておられます。

 田村氏には、政策アドバイザーとして、既に研究テーマの選定や研究の進め方に関する助言、指導をいただき、また政策形成能力の向上を目的とした第1回目の職員研修の講師を務めていただいております。田村氏には、今までの豊富な経験と幅広い知見、そして多様なネットワークを存分に生かして助言や指導をいただけるものと、大いに期待しているところございます。

 今後、ご質問にありました政策アドバイザーの専門外の課題がテーマとなるような場合につきましては、田村氏の人的なネットワークを活用して適任者をご紹介していただくことが、現実的で望ましい対応の仕方ではないかと考えております。

 また、政策アドバイザーの増員については、今のところ田村氏以外は考えておりませんが、先ほど申し上げましたように、今後、各テーマの調査研究を進める中で必要に応じてその分野の専門家に依頼し、スポット的にアドバイスをいただくことを想定しております。

 以上でございます。

o 副議長(土屋 勝浩君)中村議員。

          〔4番 中村 悠基君登壇〕

o 4番(中村 悠基君)ただいまのご答弁の中で、必要な時期が来たら専門の人材も登用していきたいということでございましたけれども、政策研究センターの業務の中で最優先で取り組んでいることが、まさにこの最先端の技術などの研究ということで、あす、あさってではないですけれども、早いうちにでも専門の人材というものを、今もう自治体同士での人材のとり合いとなるかもしれないというところまで、本当に人材不足というものが深刻化しているところでございますので、早目、早目にいろいろと手を打っていただきたいと思います。

 続きまして、3月議会で質問する予定でしたが、時間の関係でできなかった市民の森一帯の再開発について質問いたします。豊殿地域には、市民の森、稲倉の棚田、上田乗馬倶楽部、さらには滞在型宿泊施設のクラインガルテンの建設が現在進んでおります。これらの施設は、おのおの管轄の部署が教育委員会、農林部、指定管理と多くの課をまたいでいるのが現状であります。それにより地域として大きな視点で見ることができず、なかなか連携ができていないのが現状ではないでしょうか。もしもこれらの施設をこの地域一帯で成長戦略を考えることができたら、まさに上田市の成長の推進力となる地域ではないでしょうか。

 そこで、質問いたします。豊殿地域のクラインガルテンや市民の森公園、上田乗馬倶楽部、稲倉の棚田は、担当部局や管理団体が異なるため、地域の整備を一体的に検討する必要がある。新しく設置した政策研究センターで業務内容にある産業振興の振興の研究に関することに当たると思うが、政策研究センターで管理運営の方法の研究を行うなど具体的な構想を計画することも考えられるが、実現性はどうか、お伺いいたします。

o 副議長(土屋 勝浩君)吉澤上田市政策研究センター長。

          〔上田市政策研究センター長 吉澤 猛君登壇〕

o 上田市政策研究センター長(吉澤 猛君)豊殿地域にある複数の施設の管理及び一体的な整備に関するご質問にお答え申し上げます。

 ご質問の各施設は、それぞれ異なる設置目的や住民要望等の経緯を経て整備されてきたものであり、それらの一体的整備の必要性や効果を考える上で、まずは施設ごとの現状や利用者のニーズ、維持管理コストや費用対効果などを踏まえた将来的な施設運営の方向性などを所管部署においてさらに検討していく必要があると考えます。また、一体的な管理や整備を考える場合、地域全体の視点から、豊殿地域自治センターと関係部署が連携して、地域の関係する方々とともに、今後の地域づくりの方向性やビジョンについて話し合いを積み重ね、つくり上げていくことが大切ではないかと思っております。

 豊殿地域の構想づくりを政策研究センターでどうかとのことでございますが、当センターとしては、まずは選定した5つのテーマの調査研究を着実に進めまして、実効性を持った政策提言としてまとめることに注力していきたいと考えており、お尋ねの件については、地域関係者の話し合いの検討過程に当センターが必要に応じて連携、協力していくこととしたいと考えておりますので、ご理解いただきますようお願いいたします。

 以上でございます。

o 副議長(土屋 勝浩君)中村議員。

          〔4番 中村 悠基君登壇〕

o 4番(中村 悠基君)ただいま集中と選択という言葉が出ましたが、まさに最先端の技術というところに集中していただきまして進めていただきたいと思います。

 続きまして、農業についての質問に移ります。農業は自然を相手にする産業でもあり、自然災害がつきものでもあります。今年度に関しても、4月下旬と5月上旬の凍霜害や降ひょうの被害等、既に各地で被害の報告も上がってきております。それらのリスクに対処するために、今までは特にその被害を受けやすい果樹栽培では果樹共済があり、市町村でも多くの手数料と掛金の補助を行ってきました。しかし、全国的な流れとして農作物全般を取り扱う保険であります、新しくできた収入保険制度への移行が始まっております。

 折しも一昨年の降ひょう被害があり、多くの方が共済金の申請をしたこともあり、今年度の掛金は今までより何倍も高い金額になると言われた人も多くいました。それらの事情もあり、収入保険制度への移行が速やかに行われるかと思いましたが、収入保険に加入するには青色申告をすることが必要であり、さらに申請書類も農業共済に比べ多くあり、なかなか移行は進んでおりません。

 さらに、果樹共済では、先ほど述べたとおり市町村の補助がありましたが、始まったばかりの収入保険には、まだ行政の補助がないのが現状であります。多くの農家の方は、自然災害によるリスクを負い、いつ起こるかわからない災害に心を削りながら生活しております。保険料を気にせず払えるのなら、リスクを保険でどうにか対処することもできるかと思いますが、高い保険料を払えず、災害に遭い生活ができなくなり、農業をやめていくという農家もおります。

 現在、高齢化が主な理由でありますが、これから先、多くの若者が農業に参入を切望する現状を見ますと、資金的に余裕がなく、共済に加入できない若者が大規模な被害に遭った際には、突然離農の原因となると思われます。そして、高齢の農家であれば、年をとるごとに徐々に栽培面積を減らしている経営体が大半であり、その方一人が抜けた穴は余り多くありません。しかし、若い方が精力的に農地を集約したが、災害などにより突如離農しては、一挙に大量の農地が耕作放棄地になるという危険が潜んでおります。それらを回避するためにも、その地域にはどれだけの担い手農家がいて、どれくらいの面積を耕作していて、あとどのくらいの面積を栽培できるのかということを地域の農業者が集まり、関係機関を交えて話し合うことが本当の意味での人・農地プランの役割なのではないかと考えます。農林部の重点目標の中にも、担い手の育成支援と農地利用集積の推進とありますが、それらのためにも人・農地プランの話し合いの機会を生かして、担い手農業者やJA、行政が一体となり考えていただきたいと思います。

 そこで、質問いたします。人・農地プランに位置づけられている農業関係者が集まり話し合いの場を持つことが耕作放棄地対策につながると考えるが、現在の離農予定者数や意欲のある農業者への農地の集積状況はどうか。また、昨年度の人・農地プランに基づいた話し合いの参集範囲と各地区の開催状況はどうか。

 2、果樹共済などと同様に収入保険制度への保険料に対する補助を行う考えはあるか。また、災害が頻繁に発生している近年の状況を踏まえた補助を行うことが農業者の離農対策になると考えるが、見解はどうか。

 以上、お伺いいたします。

o 副議長(土屋 勝浩君)工藤農林部長。

          〔農林部長 工藤 秀樹君登壇〕

o 農林部長(工藤 秀樹君)農業について、離農予定者数、農地の集積状況、人・農地プランの話し合いの参集範囲と開催状況につきましてご答弁申し上げます。

 農業情勢につきましては、若者の農業への参入が少ないことなどから、農業従事者の高齢化と減少が進み、それに伴い耕作放棄地がふえており、この傾向は全国的にも同様に深刻化していることから、国では平成24年度から、担い手農家への農地集積や耕作放棄地の未然防止、再活用を促進するため、これから地域で中心になる農業者は誰か、近い将来、後継者がいないなどの理由から活用しなくなる農地はどこかなど、農家みずからが話し合い把握し、共有する、地域における人と農地の問題を解決する未来の設計図であります人・農地プランの作成を推進してまいりました。

 このことを受けまして上田市では、平成24年度にJAの営農センター単位ごとに、上田東、西部、塩田、丸子、真田、武石の6地区で話し合いをしながら、各地区単位で人・農地プランを作成してきたところでございます。そのプランをベースに、毎年、各地域で営農活性化委員会や農業委員、JAの皆さんなどと話し合いをしながら、プランの見直しを行っていますが、離農予定者数についての正確な数字は、残念ながら把握できておりません。また、これまでに意欲ある個人、法人合わせまして106経営体へ約112ヘクタールの農地集積を図ってまいりました。

 次に、平成30年度の各地区での話し合いの状況でございます。上田東地区では7回、西部地区では3回、塩田地区では5回、丸子地区では4回、真田地区でも4回、武石地区でも4回、それぞれ懇談会を実施してきたところでございます。こうした話し合いの中で、後継者がいないため新たな担い手の育成支援が必要であること。また、耕作放棄地を含め農地の現況把握については、JAであったり農業委員会であったり、情報が分散しているため、ワンストップで農地情報が把握できる仕組みが必要であるといった意見が多く出されております。

 こうした意見を踏まえまして、新規就農支援は、今年度から近隣町村や農業研修機関などと連携しまして、農業人材の確保や研修の充実を図るとともに、新たに創設した市単独の支援事業により担い手確保に努めてまいりますが、農地につきましては、JAや農業委員会など関係機関と連携して、担い手農家へ農地集積や新規就農者への農地紹介が円滑にできるよう、農地情報を一元管理できる体制整備が必要であると考えております。

 また、地域での話し合いは各地さまざまで、営農活性化委員会の委員を中心に参集いただいておりますが、より実効性のある人・農地プランにするためには、新規就農者を含めプランに掲載された中心的経営体の皆さんの意見や考え方を広く聞く必要があると認識しておりますので、今後アンケートの実施や懇談会の細分化などの仕組みづくりも検討していく必要があると考えております。

 続きまして、収入保険制度の保険料の補助に対するご質問でございます。まず、従来の果樹共済を含めた農業共済制度についてでございますが、この制度は法律に基づき行われる公的な保険制度で、農家の皆さんが共済掛金を出し合って準備財産を造成し、災害時にその準備財産から被災農家に共済金を支払う助け合いの制度でございまして、国が掛金の2分の1を、上田市は4分の1を補助しておりまして、平成30年度は325戸へ230万円余の掛金補助を実施してまいりました。

 一方、ことしの1月から始まった収入保険制度も、農業共済制度同様、公的な保険制度で、自然災害による収量の減少に対する損失補填だけではなく、自然災害のほかに市場価格の下落や経営者自身の疾病などによる収入の減少に対し補填される制度でございまして、ことし5月末現在で上田市では44戸が加入しております。

 農業は、災害や天候など外部要因で収入が大きく左右され、安定した経営が困難な業種であるため、収入保険制度は農業を継続していく上で重要な制度でありますので、多くの農家の皆さんに加入いただきたいと思っておりますが、長野県農業共済組合によりますと、収入保険制度は農業共済制度より複雑な仕組みであること、加入要件として青色申告が必須であることなどから、今後の加入見込みは不透明であるとのことでございます。まだ制度が始まったばかりということもあり、県内で補助を行っている市町村はございませんが、農業共済制度とは異なり、保険料の掛金が掛け捨て方式だけでなく積み立て方式もあることから、行政補助がなじまない側面もございますが、他市町村の動向を注視しつつ慎重な見きわめが必要であると考えております。

 以上でございます。

o 副議長(土屋 勝浩君)中村議員。

          〔4番 中村 悠基君登壇〕

o 4番(中村 悠基君)ただいま人・農地プランの中のご答弁の中にありました、まさに今、この人・農地プランの話し合いの中で、本当はいなければならないはずの中心的な担い手になる農家というのが新規収納者や若手の農業者、そういった方々も参加していないのが今の現状、地区によってはでありますけれども、それが現状かと思います。ぜひこれからの地域の農業を考えていく上では、それらの人にも参加していただきながら、その地域が一体となって耕作放棄地対策などに取り組んでいっていただきたいと思います。

 続きまして、近年農業において多額の被害を出しております有害鳥獣に関しての質問に移ります。1年間、丹精込めてつくった農産物を収穫間際になり害獣に食べられてしまうということは、味わった人にしかわからないことと思いますが、とても悲しい気持ちになると思います。害獣の数も、高齢化が叫ばれている猟友会の方たちだけでは既に対処し切れない状況になってきており、実害をかぶる農業者と善意の猟友会員とJA、行政が手を組み、地域ぐるみで対策をしていくことができないかと考えるところであります。

 そこで、質問いたします。昨年度の有害鳥獣による農産物の被害額はどうか。被害を食いとめるための対策はどうか。猟友会だけでなく農業関係者、JA、行政が協力して対策するべきと考えるが、見解はどうか。

 以上、お聞きいたします。

o 副議長(土屋 勝浩君)工藤農林部長。

          〔農林部長 工藤 秀樹君登壇〕

o 農林部長(工藤 秀樹君)有害鳥獣の被害と対策についてご質問いただきました。

 昨年度の有害鳥獣による農業被害額でございますが、被害の主なものは、イノシシ、ニホンジカなどによるもので、被害額は約2,500万円、被害面積は250ヘクタールでございました。被害額につきましては、ここ数年は2,500万円から2,800万円で推移しており、高どまりの状況が続いているところでございます。被害を食いとめるための対策といたしましては、猟友会の皆様による捕獲対策と、市が資材を支給し、地元の皆様に侵入防止柵を設置していただく防護対策の2つを柱としております。

 まず、捕獲対策でございますが、ここ数年、毎年ニホンジカ約1,300頭、イノシシは約300頭を捕獲していただいており、捕獲数をふやすためには先進的な捕獲技術の導入や捕獲期間の延長、新規捕獲者の確保などが重要な課題となっており、検討が必要であると考えているところでございます。

 次に、防護対策としての侵入防止柵につきましては、今までに約170キロメートルが設置されており、設置済みの地区においては、被害額の減少などその効果が見られる一方で、未設置の地区につきましては、設置の推進が課題となっているところでございます。

 現在、農業従事者などが猟友会員の指導をいただきながら捕獲活動をすることができる集落等捕獲隊の制度がございまして、市内では現在、小泉自治会のみの結成にとどまっております。この集落等捕獲隊制度は、猟友会員の皆様の負担軽減につながるともに、農業従事者などが主体的にみずからの地域を守ることができるものであることから、捕獲隊設立についてのPRや支援に今後も努めてまいりたいと考えております。

 また、猟友会の皆様による駆除につきましては、毎日のわなの見回りが会員にとって非常に負担となっているとお聞きしております。このわなの見回りについてだけでも、地元の農業関係者に担っていただくことなどの取り組みにつきましても検討してまいりたいと考えております。

 いずれにいたしましても、有害鳥獣対策は、鳥獣の種類や侵入防止柵設置の有無など地域ごとにそれぞれの課題があり、地域に合った体制と対策づくりに取り組む必要があると考えており、そのためにも猟友会を初めJAなど農業団体、農業従事者、行政が連携し、地域ぐるみで対策を検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

o 副議長(土屋 勝浩君)中村議員。

          〔4番 中村 悠基君登壇〕

o 4番(中村 悠基君)時間の関係がありますので、続きまして、市に寄贈された美術品についての質問に移ります。

 先日、市役所新庁舎の起工式が行われ、ついに新庁舎建設が動き出してまいりました。現在、私どもがおります市役所本庁舎には、さまざまな方から寄贈された多くの芸術作品が展示されております。それらの作品には一つ一つ歴史や物語もあり、市としても大切なものであります。しかし、新庁舎になればユニバーサルデザインが採用され、壁の面積は減り、美術品の展示スペースも今より少なくなり、その結果、現在展示してある作品以外にも多くの美術品を市は所有しているわけでございますが、それらも含めて、どこに展示するのかという問題が出てくるわけであります。今回の場合は、相手の厚意にていただいたものであることなどを踏まえますと、なかなか処分できないのはわかりますが、では今後寄贈いただく作品がふえたら、そのまま保管するのか。それには限界があると思います。

 改めて市役所の中を見て回ると、本当にすばらしい作品が多く展示されております。これらの作品を有効利用するべきであり、そのためには美術館での展示や、置き切れないものに関しては、いい機会ですので、オークションを開催するなどしたらどうかと思います。人目につかないところで保管するよりも、その作品を欲しいと思って飾ってもらったほうが、よっぽど作者も喜ぶと思います。サントミューゼがあり、年間数億円のお金を芸術にかける市であるならば、お金のかからないことですが、既存の美術品に対しての処遇をしっかりと考えていただきたいと思います。

 そこで、質問いたします。本庁舎に展示されている作品は、新庁舎に移転する際にどのような取り扱いをするか。また、展示されていない作品数はどうか。移転後に新たに展示する予定はあるか。

 以上お伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。

o 副議長(土屋 勝浩君)中村総務部長。

          〔総務部長 中村 栄孝君登壇〕

o 総務部長(中村 栄孝君)市に寄贈されました芸術作品についてお答えいたします。

 現在、市役所にある芸術作品は80点ほどありまして、これらは各課において管理されまして、約半分が寄贈者の意向を踏まえて応接質や各階のエレベーターホール、また6階大会議室前のホワイエ等に展示をしております。

 現在進めております新本庁舎の実施設計では、各部屋の配置や機能について各課との協議に基づいて進めておりますが、新庁舎はコンパクトで機能的な空間とするため、限られたスペースに機能的な配置となるように設計しております。設計では、1階北側へ市民が気軽に利用できる空間として、待合を兼ねた大手ラウンジ、また南側の連結棟に、つむぎモールを設け、これらのスペースでは各種の展示を含め、多目的な活用をする設計とし、また、これまで同様、応接室や5階に設置予定の大会議室前に展示のスペースを確保しているところでございます。

 作品を展示するには、サイズ、重量などに応じ、壁に下地が必要となるため、新本庁舎の設計の際の工事に対応する予定ではありますが、現時点では具体的にどのような作品をどこの場所に展示するかなどの詳細については決定をしておりません。

 また、現在、展示がされていない作品数は30点ほどとなりますけれども、新本庁舎は限られたスペースでの展示となることから、寄贈者のご意向を踏まえ、展示の有無、展示場所、展示内容及び方法について庁内で多方面から検討してまいりたいと考えています。

 以上でございます。

o 副議長(土屋 勝浩君)中村議員の質問が終了しました。

 ここで15分間休憩といたします。

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