令和2年9月議会一般質問(食の安定的な確保)

令和2年の9月議会の一般質問は、新型コロナウイルスが上田市内で増加傾向にあったことから、試行的に、議員や、職員が議場に集まらなくてもできるように、文書での一般質問が行われました!

今回は主に農業の事から食料の安全保障のことについて質問しました。

新型コロナウイルス感染症の影響による世界各国の輸出規制や アフリカ大陸を中心とした サバクトビバッタ の大量発生に よる 穀物の供給不足、中国 で 発生した 洪水による農地の水没 などから農作物に関する貿易取引が困難になることが予想されるが、市において、食料安全保障の面でどのような影響があるか 。

新型コロナウイルス感染症に伴う各国の輸出規制につきましては限定的であり、農林水産省では世界的には穀物の在庫は増えており、規制による影響は軽微であるとしています。

また、サバクトビバッタの大量発生については、現在インドやパキスタンの南アジアにも大量発生しているとの報道がありますが、これは過去にも大量発生の記録がある別種のバッタと見られています。

また、穀物輸入に関しては大口の買い入れ先とは異なるため、現在のところ日本への影響は少ないものと見られています。
しかしながら、サバクトビバッタは海を越える飛翔能力を有すると言われており、移動につれて数を増やしていくという繁殖能力もあるため、各国の被害の状況も併せて注意深く見守っていく必要があると思われます。
さらに、中国で発生した洪水については、主食となる穀物の輸入はそれほど大きくないため、現在のところ日本への影響は少ないと考えられますが、今後も世界各国の被害状況等を注視しつつ、国や県、JA等農業関係機関と緊密に相互連携し、対応していきたいと考えています

今後、新型コロナウイルス感染症以外の感染症や災害等 で 物流システムが 通常どおりに 機能しなく なった場合に備える上で 、どのような取組が必要 になる と考える か。

物流が完全に止まった場合は、これは感染症に限らず大規模災害が発生した場合と等しいことと考えられます。
従いまして、各種防災サイト等に掲載されている備蓄品リスト、これらを参考に最低でも3日間、できれば1週間程度の備蓄が必要であると考えています。
また、大規模災害時にならい、県内外の市町村や様々な事業者等と応援協定を締結していますので、それらとの連携など、あらゆる方策を動員して対応する必要があると考えます。

食料自給率向上等の観点から 、冬期間の食料の安定的な確保が課題であるが、有効な対策はあるか。また、危機管理の観点から、積極的に有効な対策を推進していく考えはあるか。

上田市は主食となる穀類の生産量は十分にあるものの、施設野菜は生産量及び農家数も少なく、県外及び市外生産地に頼らざるを得ない状況です。
こうした問題は一朝一夕には解決できないものですが、担い手農家の育成、遊休荒廃農地の活性化等に取組んでいきます。また、コストの問題もありますが、農業用ハウスなどの施設化の推進による周年栽培の導入も推進したいと考えています。さらに、古くから活用されている漬物を代表とした発酵食品などの保存食の活用も有用な方策ですので、地産地消の推進を行い、食料の安定的な確保を図りたいと考えています。

友好都市・災害時応援協定都市 の 練馬区には、ひょう害のりんごの販売などで多くの支援をいただいたが、 災害時以外 に 農業分野 では どのような交流を行っているか 。また、練馬区とより積極的に交流を深めることは 、 市内農業者にとって有益 になると考えるが、新たな取組は検討しているか。

練馬区とは、平成6年の武石少年自然の家、現在の「ベルデ武石」の新館建設にあたり、これまで育んできた相互の理解と信頼に基づき、更なる文化、教育、産業等において友好交流を深めるため、旧武石村と友好締結を結び、現在に至っています。
 

練馬区から上田市へお越しいただく交流としては、武石地域にあります「ベルデ武石」を自然教室の拠点とし、練馬区の小学校高学年を対象とした田植え・稲刈りの体験交流を実施しています。

また、上田市が練馬区へ出向いていく交流としては、練馬まつり等のイベントに参加し、上田市の農産物等を即売しています。特に、11月に行われる「西武グリーンマルシェ」は、出店が西武鉄道沿線の事業者等に限定されているところですが、平成29年に「雹害リンゴ」を特別に取り扱っていただいたご縁から、毎年、上田農業青年会議が参加をしています。

本年度については、今までのところ、コロナ禍の状況のため、直接練馬区を訪れることはかないませんが、新たな取組として、職員向けに「信州上田なないろ農産物セット」の斡旋販売を実施し、大変好評でした。


平時から交流を深めていくことが、雹害リンゴなどが発生した時、また今回のコロナ禍のような非常時におけるお互いの支援につながっていくものと考えます。

今後も、友好提携都市や姉妹都市をはじめとした市町村交流は、常に新たな
取組を模索しながら、連携・協力を図っていきます。

人・農地プランの実質化が事業支援の要件と なっており 、早期の実質化が求められているが、進捗状況はどうか。また、実質化を進める上での課題は何か。

実質化事業は農業次世代人材投資事業や、強い農業・担い手づくり総合支援事業交付金事業等、新規就農者の経営の開始や、担い手農業者の規模拡大に寄与する多くの補助事業においての要件となっています。

上田市においては、地域の意向を確認するアンケート調査を令和2年1月に実施し、実質化の要件である面積の過半を上回る62.5%の農地について意向を確認しました。また、農業者の年代分布や後継者の有無等、地域の状況を「見える化」するための地図化作業を完了しています。

また、地域農業の将来方針の策定については、令和3年3月までの完了に向け、現在各地区ごとに事前検討会を実施していますが、将来方針の策定には、地域の多くの方の意見を反映させる必要があるものの、新型コロナウイルス感染症の影響下では、地域の幅広い声を集めることが困難であり、課題となっています。

今年度の進め方としては、国・県の指針に沿い、地域の取りまとめ役である関係団体の代表者の方々に協力をいただき、対面式で多くの方々が集まることを避け、参集者を限定した形で地域の方々の声を集約していく方法による取り組みを着実に進めたいと考えています。

新型コロナウイルス感染症関連の補助事業は、申請先が自治体ごとによって異なっており、自治体への申請やJAへの申請などがある中で、次の項目についてどうか 。
(ア) 各補助事業の 申請先 と申請先の決定方法
(イ) 各補助事業の対象者数、申込者数、申込率

補助申請先については、補助事業ごとに申請先が異なっています。また、申請者がJA組合員か非組合員かによっても、受付窓口が異なります。

経営の継続に向けた取組みを支援する「経営継続補助金」は、JA組合員はJA、JA非組合員は長野県上田農業農村支援センターへ申請します。

次期作に前向きに取り組む生産者を支援する「高収益作物次期作支援交付金」は、JA組合員はJA、JA非組合員は市が事務局となっている上田農業再生協議会へ申請します。

外国人材の不足を補う代替人材の募集を支援する「農業労働力確保緊急支援事業」については、農業委員会系統組織の一般財団法人全国農業会議所へ申請します。

各補助事業の対象者数、申込者数及び申込率については、対象者数は補助要件を満たしている者の数とし、申込者数と同数であると考えられることから、「経営継続補助金」については、現在までのところ対象者数、申込者数は個人・法人合わせて167件、申込率100%です。また、「高収益作物次期作支援交付金」についても、現状で対象者数、申込者数は個人・法人合わせて16件、申込率100%です。なお、「農業労働力確保緊急支援事業」については、期限が12月31日までであること、また、申請窓口が全国農業会議所となっていることから、各件数については把握していません。

市内農業者のデータベース化により各補助事業の対象者を割り出し、郵送費削減のためにメール等で補助事業に関する情報提供を行うなど、ICTを活用した広報が必要と考えるが、見解はどうか。

市の広報紙である「広報うえだ」については、農業関連では農薬使用についての注意喚起に関すること、農繁期に農作業の労働力支援としてのアグリサポーターの募集、小学生に農業に親しんでもらう教育ファームの募集、市内農産物直売所に関する情報、農産物を用いた6次産業化の取組みの紹介等があります。

発信する情報のすみ分け等については、主に市民全般に向けたものが市の広報、農業者向けのものがJAとなっていますが、農業関連の大きなイベントや重要事項についてはその都度調整をして発信しています。

市やJAの 広報紙等 により 農業者に有益な情報を 発信 しているが、市 で発信する内容にはどのようなものがあるか 。また、 発信する情報のすみ分けをJAとどのように協議しているか 。

現在イベントや災害等について発信している市のメール配信サービスがありまあす。農業分野に関しては「農産物等被害注意報」が配信情報として選択できますが、この中に補助金等に関する情報についても同時配信ができるよう、関係部署と協議し調整を図っていきます。

農業分野における スマートシティ推進のため、農林部ではどのような検討を行っているか。

政策研究センターが中心となり、これまで農業関係団体等との懇談会を重ね、意見集約をしてきました。

これらの結果を踏まえ、農業分野では生産性向上を図るための事業案として、上田市農業バイオセンターや菅平高原等のほ場を活用し、センサーを活用した(センシング)技術によるスマート農業の実証実験、「人・農地プランの実質化」のため、現在紙ベースで管理している農地情報のデジタル化、米の生産調整に関連する現地調査時にタブレット端末で確認が可能となるシステムの導入による業務の省略化などがあります。

また、林業分野では、現在目視で行っている松枯れ状況のドローン空撮による業務の効率化、赤外線カメラにより樹木の温度差を測定し、松枯れ状況の把握可能性についての検証、有害鳥獣対策として罠にセンサーを設置し、捕獲状況の把握を行うシステムの実証実験、鳥の追い払いシステムの実証実験などがあります。

防災面では、越水が発生しやすい用排水路へ監視カメラを設置し、リアルタイムで水路状況の把握を可能とし、水門の開閉を自動化にするシステムの検証等があります。今後、関係部署と協議を重ね、実用化に向けた対応を検討したいと考えています。

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