中村悠基
通告に従い、農業について、いつもどおり是々非々にて質問してまいります。
一昔前から常に農業の問題点として挙げられてきた耕作放棄地や後継者の問題がありますが、それらの課題を解決するための具体的な未来ビジョンとして、国から作成が促されたのが人・農地プランであります。
人・農地プランに地域の担い手農業者として位置づけられていることが、補助金の採択要件になっていることも多く、多くの市町村では人・農地プランの作成が急がれました。
しかし、蓋を開けてみれば、人・農地プランの策定の目的であった中心的経営体、いわゆるその地域の担い手となる農業者への農地の集約などは、なかなか進みませんでした。
その要因として、国の中心的経営体への農地の集約という目的と、市町村の国からの補助金をもらうという目的がかみ合っていないことや、人・農地プランでは、年に1回、関係者を集めて話合いの場を設けなければならないのですが、そこに当事者である担い手農業者がおらず、当事者がいないまま計画が作成されたことが挙げられます。
その結果、農地を手放したい農家は借り手を見つけられず、規模拡大をしたい農家は貸し手が見つからないという現象が起き、人・農地プランが策定されているにもかかわらず、中心的経営体に農地の集約という、その目的が果たされることはありませんでした。
そして、見かねた農林水産省は、令和元年に現在の実効性のないプランを実質化するようにとの通達を出しました。
私は、令和元年度6月定例会で、人・農地プランについて一般質問したわけですが、そのときの市の答弁では、新規就農者を含め、プランに掲載された中心的経営体の皆さんの意見や考え方を広く聞く必要があると認識しておりますので、今後アンケートの実施や懇談会の細分化などの仕組みづくりも検討していく必要があると考えておりますとのことでありました。
それから2年の月日が流れ、どのように実施してきたのか伺いたいと思います。
まず、1つ目として、全体像の把握のために人・農地プランの実質化の進捗状況はどうか。
続いて、人・農地プランの計画や実行、評価、改善をするためにも会議に当事者である中心経営体に位置づけられている農業者の方を参集すべきと考えるが、見解はどうか。
最後に、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、令和2年度の人・農地プランの会議では、参集範囲を限定したが、会場の感染防止対策の徹底やオンライン会議の開催など、通常時の参加対象者が出席できる方式を検討したか。また、今年度はどのような方式で開催するか。
以上3点について質問して、私の第1問といたします。
柏木農林部長
人・農地プランについて何点かご質問をいただきました。最初に、人・農地プランの実質化の進捗状況についてお答えいたします。
人・農地プランとは、農業者の高齢化や離農、後継者不足、耕作放棄地の増加といった人と農地の問題を解決するために、農業関係者が話合いに基づき、今後地域農業を中心的に担っていく農業者を中心経営体と位置づけまして、農業の将来の在り方などを明確化させていく取組でございます。
人・農地プランの実質化につきましては、この後申し上げます3つのプロセスを経て作成されたものを新たな実質化された人・農地プランとしております。
まず、1つ目として、対象地域の中で、おおむね5年から10年後の農地利用に関するアンケート調査を行い、それぞれの地区が面積率で50%を超える回答を得ることとされております。
上田市では、市全体を上田東、西部、塩田、丸子、真田、武石の6地区に分け、計画を作成することといたしました。
この6地区において、令和2年1月に農地利用の現況を把握するためのアンケート調査を実施し、全ての地区で50%を超える回答が得られ、市内全体では面積率にして62.5%の回答率となっております。
2つ目といたしましては、このアンケート調査を基に、現況を把握するための地図を作成することとされております。上田市では、6地区ごとに年齢別、後継者の有無、今後の経営方針の3種類の地図を作成し、現況把握を行いました。
また、3つ目といたしましては、この地図を基に、話合いにより、地域の中心となる経営体への農地の集約化に関する将来方針を作成することとされております。
昨年度は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、会議の参集人数を制限したり、書面での意見提出をお願いしたという状況もございましたが、6地区全体で、延べ28回にわたる協議を行い、それぞれの地区ごとに6つのプランを作成いたしました。
これら3つのプロセスを経て作成された6地区の人・農地プランにつきましては、令和3年3月19日に上田市農業委員会や市内6地区の営農活性化委員会の委員などで構成された上田市人・農地プラン決定のための検討会において審議が行われ、6つのプランが承認されました。なお、承認されたプランにつきましては、上田市のホームページで公開しております。
続きまして、人・農地プランの改善に係る中心経営体の方の会議への参集についてお答えいたします。中心経営体につきましては、策定した人・農地プランを今後実施していく上で、根幹をなす重要な事業者であると認識をしております。
このプランを実のあるものにするためにも、中心経営体を含めプランの見直し等について毎年協議していく必要があり、中心経営体の皆様には、現場で実践する立場からご意見をいただくため、今年度は年2回を予定している各地区での懇談会にご出席いただきたいというふうに考えております。
続きまして、人・農地プランに係る今年度の会議の開催方式等についてお答えいたします。昨年度の人・農地プランの実質化に係る会議につきましては、大人数での会議をなるべく避ける必要があったため、人数を制限して実施し、会議の前には会議室の消毒、出席者の手指消毒や検温等を行い、会議中においても小まめな換気を行うなど、感染防止対策を講じて実施いたしました。これらの会議による感染者はおらず、感染防止対策は適切に実施できたものと考えておりますが、一方では計画作成に当たり、本来必要であった審議時間につきましては、十分に確保できない一面もあったと認識しているところでございます。
なお、議員ご指摘のオンライン会議につきましては検討もいたしましたが、各地区の会場での動作環境や設備、機材が十分整わないことから、残念ながら断念をいたしました。
今年度につきましては、感染状況の推移やワクチン接種の進捗状況にもよりますが、各地区の懇談会を11月と翌年2月の2回予定しております。開催に当たっては、十分な感染防止対策を講じた上で、中心経営体を含む多くの農業者の皆さんにもご参加いただくため、例えば大人数での会議が難しい状況にあれば、水稲や果樹、花卉等の作物別の分野に分けての開催や、農業青年会議等、年齢階層別に分けての開催など、参集範囲を調整し、結果的により多くの皆さんが会議にご参加いただける方法を検討してまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
今ご答弁いただきまして、中心的経営体の方々も会議のほうに参加させていただけるということで、本当に国からしたら、人・農地プランの実質化ということで、人・農地プランというものを定めたことによって、今後の農村地域、農業をやる上でしっかりとした計画を立てて実行していかれるようにというプランだと思いますので、ぜひとも、今ご答弁にありましたとおり、これからどんどん実行して評価して改善していってというサイクルで進めていっていただければいいのかなと思いました。