令和3年6月議会(スマートシティ関連)

◆中村悠基

 続いて、我々の会派、上志の風は、スーパーシティ構想やスマートシティなど、デジタル化について常に意識しながら提案させていただいてきましたが、それらに関連してスマート農業について質問していきます。

平成30年の6月定例会から常に取り上げてきた内容ですが、ついに令和3年3月に上田市スマートシティ化推進計画が策定され、上田市の施策の土台となるビジョンができました。

今後は、常にこの上田市スマートシティ化推進計画が大きいビジョンとしてあり、個々の効率化、全体の最適化が図られることを思うと、大きな一歩を踏み出したと思います。

ご存じの方は少ないかと思いますが、上田市スマートシティ化推進計画にある25個の個別施策の中の66の主な取組の一つ一つで企業、大学、関係団体、政策研究センター、担当課などでプロジェクトチームを組んで実行していくという計画であり、その労力は計り知れませんが、しっかりと計画を実行していっていただきたいと思います。

 そして、計画はできましたが、実行していくという意味では、担当課の役割は非常に大きく、政策研究センターだけでなく、担当課のスマートシティ化への思いが重要になってきます。上田市スマートシティ化推進計画が絵に描いた餅にならないためにも、農林部が関係する部分について質問したいと思います。

 上田市スマートシティ化推進計画のうち、農林部の所管事項に関する4項目の進捗状況はどうか。取組を進める上で民間企業との連携が重要と考えるが、協力企業はあるか。

また、それぞれの取組に参加する企業の募集方法はどうか。意欲のある企業が参加できる仕組みであるか、質問いたします。

柏木農林部長

上田市スマートシティ化推進計画のうち、農林部所管の4つの取組と民間企業との連携についてお答えいたします。

 現在の農林業を取り巻く状況は、担い手の高齢化などにより従事者が減少し、今後も担い手の減少が加速度的に進んでいくことが危惧されております。

また、生産現場におきましては、遊休農地の増加や間伐等の林業活動が停滞し、森林の荒廃や鳥獣による被害も増加しております。あわせて、地球温暖化などによる気象変動に柔軟に対応していける経営環境を整備していくことが不可欠となっております。

 このような状況を踏まえ、農林部では上田市スマートシティ化推進計画の中で、人と自然を守るスマート農業・林業を個別施策に掲げ、現在の農業、林業を取り巻く課題の解決に向けた取組として4件の実証実験などを予定しております。

 まず、1つ目の取組といたしましては、センシング技術を活用した農産物の栽培管理技術の向上に向けた実証実験の検討でございます。

現在の具体的な取組といたしましては、JA信州うえだと連携し、市内の施設野菜農家のハウスにおいて、栽培管理用のセンサーを設置し、温度や湿度などの環境情報を自動で計測、蓄積して、生育情報と組み合わせることで、生産物の多収穫化、高品質化、省力化につながる実証準備を進めているところでございます。

 本年度から実証実験を進める作目につきましては、JA信州うえだと協議し、今後も安定的な需要が見込まれる野菜を重点品目と位置づけまして、その中でも対象をキュウリに定めまして、3年間をめどとして上田市スマートシティ化推進パートナーとなっている企業、団体と協力して実証実験を行う予定としております。

ただし、今回のセンシング技術の実証実験につきましては、あくまでも農業生産の基本である作物を主に観察することと、観察結果を記録することをサポートするためのシステムでありますので、万能なツールではございません。

このため、今後は実証実験に参加していただく農業者やJA信州うえだ、上田農業農村支援センター、また協力企業との連携を密に取りながら、課題の共有や解決に向けた取組を進め、多収穫化、高品質化、省力化が実現できるような栽培指標の作成に向けた取組を進めてまいります。

 次に、2つ目の取組といたしましては、水田台帳の整備とタブレット端末を利用した水田の現地確認システムの導入でございます。水田の現地確認は、米の生産調整に係る経営所得安定対策により、国の交付金の対象となる水田を確認するため、係員が例年7月から10月にかけて市内の現地に赴き、目視にて作付作物を確認する作業でございます。

現行の水田確認作業は、市の職員、JAの職員と各集落の役員の方にご同行をいただきながら、確認対象となっている水田に掲示されている立札と、確認者が持参した確認野帳を突合させることで確認を行っております。

今後は、GPS機能を搭載したタブレットを活用することにより、各集落の役員の方の案内が不要になり、現地確認に係る負担軽減や業務の効率化が期待できます。

 また、現地確認による結果の反映につきましても、これまでは確認野帳を1枚ずつ確認し、作物名や対象面積などに修正があった場合は、その都度水田システムに変更箇所を入力しておりましたが、タブレットを導入することにより、現地確認による修正データなどのを一括で水田システムに読み込ませることができるため、大幅な業務の改善が可能となります。

こうしたことから、市では本年度からタブレット端末を活用した現地確認体制の構築を今後3年をめどに進めていくこととしており、本年度は現地確認用のタブレット10台の導入を予定しております。

また、このタブレットにつきましては、汎用性の高いツールでございますので、今後の活用につきましても、関係機関、団体と協議しながら、人・農地プランの実践活動や遊休荒廃農地の確認など、様々な場面で利用することも併せて検討してまいります。

 次に、3つ目の取組といたしましては、小型無人機ドローンによる松枯れ被害対策の実証事業でございます。具体的には、これまで職員が目視で確認してきた被害状況について、ドローンによる撮影及びレーザー計測による画像の解析から、松くい虫被害木の数量を把握する調査を行い、被害木の伐採後には再度ドローン空撮により被害状況を確認し、調査の正確性と伐採作業の効果を検証するものでございます。この事業につきましては、長野県林務部が平成30年度に「スマート林業タスクフォースNAGANO」という協議会を立ち上げ、既にドローンの利活用を研究しております。

このドローン活用につきましては、信州大学農学部と連携するベンチャー企業が参画、協力しており、今回の私どもの松くい虫対策の実証事業につきましても、同事業者の技術力が非常に高いことから、協力を得たいと考え、準備を進めているところでございます。

 最後の4つ目の取組といたしましては、有害鳥獣防除対策事業の鳥獣の捕獲について、先端技術を導入するものでございます。

これは、近年捕獲従事者の高齢化や減少が課題となっていることから、わなの見回り等の負担軽減のため、地元民間業者と連携して、LPWA、低消費電力・長距離無線通信技術といいますけれども、この回線を利用して、わなに設置したセンサーにより、鳥獣を捕獲した際に、捕獲従事者のスマートフォンなどにメールでお知らせするという実証事業でございます。

なお、このシステム構築に関わる費用につきましては、本定例会において補正予算として計上させていただいております。

 この実証事業では、捕獲従事者が自らが仕掛けたわなを見回るといった負担軽減を目的としておりまして、これにより従事者の増加やわなの設置箇所を増やせることで、捕獲頭数の増加が期待できるものと考えております。

本事業につきましては、特定の地元民間事業者のご負担により、既に令和2年度までに電波送信用のシステムの構築や、わなを設置する山間地での電波状況の確認など、事業実施に向けての環境整備が済んでおりますことから、有害鳥獣防除対策事業の実証事業につきましては、この民間事業者の協力を得ながら進める計画としております。

 これら森林整備に関する後半の2つの実証事業につきましては、事業実施に関わる環境面の準備段階から既に特定の民間事業者協力の下、進めている状況でございます。市といたしましては、これら事業者の事業実施に関わる意欲、また経験値も高いことから、今後もこれらの事業者の協力を得ながら進めていきたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、上田市スマートシティ化推進計画は5か年の計画期間があり、今年度はまだ初年度の段階でございます。AI、IoTなどの先端技術は、計画期間中の5年間の中でもさらに新しい技術が開発されることも考えられます。

そのため、各分野の施策につきましては、その時点の状況などケース・バイ・ケースで、意欲のある事業者にもご協力をいただきながら、最先端技術の導入を図っていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。

中村悠基

農林部の関係は、非常に上田市スマートシティ化推進計画の中でも大分進んでいるのかなと個人的にも思っております。ぜひ、計画が5年間ということもあるのですけれども、どんどん、どんどん、先へ先へではないですけれども、やらなければいけない課題というのは、農業の場合は非常にたくさんあると思っておりますので、今の計画がだんだん軌道に乗ってきたとしたら、次の課題というものをぜひ、次の課題に取り組んでいただけるといいのかなと思いました。

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