日程第1 一般質問市政について
o 議長(小林 隆利君)日程第1、一般質問を行います。
まず、質問第12号、市政について、中村議員の質問を許します。中村議員。
〔4番 中村 悠基君登壇〕
o 4番(中村 悠基君)皆さん、おはようございます。議長から許可をいただきましたので、通告に従い、生まれて初めての一般質問をしてまいります。
上田市に限らず、昨今の地方自治体は数々の問題を抱えております。人口減少による活力の低下、需要不足による経済規模の縮小、経済規模の縮小による税収の減少、少子高齢化社会による社会保障費の増大、現役世代の負担増、高齢者のリタイアによる農地の荒廃など、今の世の中はあらゆることにおいて衰退していくものばかりでございます。だからこそ、今、必要とされるのは、現状を少しでも希望が持てる、発展していく状況へと変えていくことと考えます。そこで、これらの問題に対して上田市はどのような姿勢で取り組んでいくのか。2つの観点、まずは人口減少について、続きまして農業分野に関してお聞きしたいと思います。
それでは、早速質問に入らせていただきます。まず初めに、人口問題についてお伺いいたしますが、当初、3項目について質問を予定しておりましたが、昨日の斉藤達也議員の質問と一部重複する部分がありましたので、転出者数を減らす取り組みについては割愛いたします。
人口が減れば消費が減り、経済が縮小し、さらに税収も減りと、悪循環となるわけですが、新市長となりまして、これら市の人口減少問題に対して、市長はどのようなお考えか、質問いたします。
市は人口、経済規模、税収の維持、またはできるだけ低下しないような施策を模索しておりますが、上田市の人口はふやす、経済規模は大きくする、税収をふやすと目指すくらいの意気込みで取り組むことが肝要かと思いますが、それぞれについてどうお考えか、お伺いいたしまして、私の1問目の質問とさせていただきます。
o 議長(小林 隆利君)土屋市長。
〔市長 土屋 陽一君登壇〕
o 市長(土屋 陽一君)中村議員の質問に対する答弁を行います。
社会経済情勢による課題において、ご指摘の少子高齢化、そしてまた人口減少社会の急速な進展は、地域コミュニティー存続への影響のほか地域経済の縮小など、さまざまな面に深刻な影響を及ぼすことが懸念されているため、将来にわたりまして活力の維持と成長に向け、人口減少を見据えた行政経営と人口減少に歯どめをかける取り組みを推進していく必要があると認識しております。
一方、経済規模とは、GDP、国内総生産にあらわされるように、消費や投資、そして行政が使う予算の規模になろうと思いますが、したがいまして経済規模が大きくなるということは、個人収入が増加し、個人消費が拡大していくこと、また企業も増収、増益となり、さらに投資額もふえていくというような状況になるということであります。経済規模が大きくなり、個人や企業の収入が増加すると、必然的に税収も増加していきます。税収が増加または安定すれば、市の歳入も安定的となり、市民サービスの持続的な提供にもつながるものと考えております。
このように、人口と経済規模、そして税収には密接な関係があります。右肩下がりと言われる時代にあって、それぞれ増加、拡大することは難しい問題ではありますが、市の政策といたしまして、人口減少を抑えていく取り組みとともに、上田市の持続的な発展のため、また市民サービスをより向上させるためにも、地域経済の成長と税収の増加は上田市にとって留意すべき重要な課題であると捉えております。よろしくお願いいたします。
o 議長(小林 隆利君)中村議員。
〔4番 中村 悠基君登壇〕
o 4番(中村 悠基君)次に、人口の自然動態の話に移ります。
上田市まち・ひと・しごと創生総合戦略に記載があります。人口の将来展望について、上田市の人口が2010年、15万9,597人から、2060年には11万3,285人へと減少とあります。この数値は、国立社会保障・人口問題研究所の推計より減少数を抑制した場合の試算値であります。この数値目標を達成するための前提として、合計特殊出生率に関しては、現在の1.54%から2025年には1.7%程度、その後、2040年には2.0%まで上昇とあり、さらに4つの基本目標、1、就業機会と多様性を創出する。2、人口の自然減に歯どめをかける。3、人口の社会増を伸ばす。4、安心して暮らし続けられる地域をつくる。これら4つの基本目標に取り組むことで、自然増、社会増を実現していくとあります。
2040年に合計特殊出生率が2.0%までふえるのであれば、これらの基本目標をより効果的に実行していけば、2.0%以上の目標を達成することも早期に実現することも可能かと思います。今、求められているのは、衰退や維持ではなく、発展でございます。かの有名なジュール・ヴェルヌの発言であります。人間が想像できることは人間が必ず実現できる。私たちは、これから人口がふえていく社会を想像し、そして実現していかなければなりません。そのためには、市長の発言にありました失敗を恐れず挑戦していく、全てこれに尽きると思います。ぜひ失敗や批判を恐れるのではなく、夢や希望を持ち、お答え願います。
それでは、人口問題、最後でありますが、質問いたします。人口の維持や減少数の抑制ではなく、人口をふやすための具体的な施策のうち、現実的に実施が可能な施策は何かあるか。また、予算を考慮しなければ実施できる施策についてはどうか。
以上について答弁お願いいたします。
o 議長(小林 隆利君)柳原政策企画部長。
〔政策企画部長 柳原 渉君登壇〕
o 政策企画部長(柳原 渉君)ご答弁申し上げます。
上田市では、人口減少への歯どめと人口減少を踏まえた地域社会の維持、活性化に向けた施策につきまして、さらに深化、展開させるものとして、平成27年に上田市まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定いたしました。総合戦略では、人口減少の抑制、地域社会の維持、活性化するために5つの基本方針と4つの基本目標を掲げ、国の交付金を活用しながら事業の推進に取り組んでいるところでございます。
一例を申し上げますと、交付金を活用した事業といたしまして、UIJターンと地域若者等定住就職支援事業としまして、首都圏等の移住希望者に対して、移住の動機づけと地元企業との円滑な雇用のマッチングを図るため、お試し就業・職場見学体験等を実施したり、さまざまな事情により就業につけない若者を安定した正規雇用に結びつけるために職場体験研修を実施し、地域への定住を促しております。
このほかにも、平成29年度に交付金を活用した事業といたしましては、コワーキング整備事業、ものづくり企業相談体制整備事業、子育て女性社会進出促進事業など13の事業を実施しております。総合戦略には交付金を活用しない事業もさまざまあり、どれも地域社会の維持、活性化に向けた実施可能な施策として位置づけて、精力的に推進しているところでございます。
総合戦略におきましては、上田市の人口の将来展望を2060年に11万3,285人とし、国立社会保障・人口問題研究所の推計と比較し、約2万3,000人の減少抑制を目指すものとしております。この将来展望の数値を達成するためには、総合戦略にありますこれら事業を推進していくわけでございますが、事業の費用対効果の検証、さらには情勢に応じた施策の追加や見直しも行いながら、今後も少子高齢化、人口減少対策として優先的に取り組まなければならない事業を選択し、その推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
また、予算を考慮しなければ実施できる施策があるかとのご質問でございますが、予算を考慮しないということはあり得ないわけでありますが、例えば出産から子育て、就業などにおける手厚い支援策や税の軽減、医療費の給付など、市民生活において他の自治体よりも大幅な優位な手だてを講ずれば、一定程度人口は増加すると考えられます。しかし、それは当然でございますが、市の経営が成り立ちません。
いずれにいたしましても、人口減少問題の解決につきましては特効薬がなく、国としても重要課題となっております。市といたしましては、さまざまな事業の検証を行いながら、国の施策等も注視しながら、総合戦略に基づく施策の推進を図ってまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
o 議長(小林 隆利君)中村議員。
〔4番 中村 悠基君登壇〕
o 4番(中村 悠基君)市の経営が成り立つためにも、ぜひ経済発展をさせていただきたいと思います。もう後ろ向きな考え方はやめて、ぜひ前を向いていただきたいと思います。
それでは、時間の関係もありますので、次の農業問題に移ります。通告とは多少順番が前後いたしますので、お願いいたします。
上田市の経済は生産額で見ると、平成26年の数値でありますが、製造業の年間生産額が1,938億円と断トツで多い一方、農業生産額は93億円と、約20分の1であります。しかし、この農業という産業は、この上田市の景観を守り、そして観光資源にもなり、市民の暮らしやすさにも直結する産業でございます。農業以外の工業、商業、医療などさまざまな産業に従事する人たちが、より暮らしやすい上田市、そして魅力あり、暮らしたくなる上田市の実現のためには、衰退する農業ではなく発展していく農業をつくることが大切であると思います。
しかし、農業は自然災害に生産額が大きく左右される産業でもあります。農作物被害の中でも、近年、カラスの被害が甚大であり、1年間大切に汗水流して栽培してきた収穫間際の作物をだめにされる農家の気持ちは、相当な心の疲弊、そして農業を離農する原因にもつながります。
昨年は、上田市広域での降ひょうもあり、上田市としても減災、防災に直結する防ひょう、防鳥ネットの購入に際し補助を行うこととなっております。しかし、現実は農業の従事者の高齢化が進んでおり、災害被害を最小限に抑えてくれる防ひょう、防鳥ネットの設置ができない農家も多数いるのが現状であります。ネットは、基本的に春先に設置し、降雪による施設の倒壊を防ぐために冬の雪が降る前に撤去しなければならず、高齢化が進む農業では力仕事や高所作業が難しく、設置自体ができない状況が多々あります。そこで、4点質問いたします。
1つ目、カラスによる農作物被害の年間被害額は幾らか。
2つ目、各種鳥獣を駆除した際に報奨金は出しているか。また、金額は幾らか。
3つ目、カラスがふえている原因は何と考えるか。
4つ目、防ひょうネットを購入した際の補助は行っているが、金銭的補助だけでなく人的な支援を行う考えはあるか。
以上4点についてお伺いいたします。
o 議長(小林 隆利君)中澤農林部長。
〔農林部長 中澤 勝仁君登壇〕
o 農林部長(中澤 勝仁君)カラスによる農作物被害の年間被害額は幾らかとのご質問を頂戴いたしました。JAなどからの報告によりますと、カラスによる被害額は、平成27年度は約380万円、平成28年度は約450万円、平成29年度は約460万円とされており、増加傾向にございます。被害の主な作物を昨年度の例で申し上げますと、果樹が320万円余、野菜が100万円余となっております。
次に、各種鳥獣を駆除した際の報奨金は出しているのか。また、幾らかということでございますが、駆除につきましては、ご承知のとおり猟友会の皆様のご協力をいただき、実施しておるところでございますが、大型獣でありますニホンジカとイノシシにつきましては、1頭当たり1万5,000円、中型獣のハクビシンは1頭当たり4,000円、タヌキ、キツネは1頭当たり3,000円、鳥類のカワウ、アオサギにつきましては1羽当たり200円の報償金をお支払いしてございます。なお、カラスにつきましては、カラスおりによる駆除を中心に実施しておりまして、1羽当たりの報償金というものではなく、カラスおりの管理費といたしまして、1基当たり年間15万円をお支払いしているといった状況でございます。
次に、カラスがふえていると考えるが、その原因はどうかというご質問でございます。先ほども申し上げましたように、カラスによる農作物への被害報告も増加傾向にありますことから、個体数につきましても年々増加しているものと思われます。その原因といたしまして、カラスは雑食性であり何でも食べると言われております。餌となる果樹、野菜、残渣等が農地や市街地近郊などに多くありまして、繁殖できる環境が整っておることなどが挙げられます。また、2つ目といたしましては、カラスは3日ほど絶食いたしますと生きられないとの報告がございます。このため、積雪量が多い年ですとカラスは十分に餌を確保することができず、個体数が減少すると言われておりますので、個体数の増加は温暖化傾向にも影響しているのではないかと考えておるところでございます。また、3つ目でございますが、カラスおりは市内に2基設置しておりますが、近年ではなかなかカラスおりに入らず、捕獲できる個体も減少傾向にございます。カラスは学習能力が高いと言われており、おりに対する警戒心が高まっているのではないかと考えております。
次に、防ひょうネットを購入した際の人的な支援を行う考えはあるかとのご質問でございます。当地区は、元来、ひょうの降りやすい地域であることに加え、昨年発生いたしました甚大なるひょう被害の教訓から、果樹農家の皆さんには今後とも果樹産地を守っていただかなければならないということ、昨年のようなつらい思いをしていただきたくないという観点から、今年度から新たに防ひょうネット設置に対する補助事業を創設いたしました。
この補助事業は、資材費及び設置に係る人件費を補助対象としておりますが、降ひょうの起きやすい時期のネットの設置ですとか、降雪前のネットの撤去に係る人的支援までは対象としておりません。しかしながら、果樹農家の高齢化を考えた場合、ネットの設置や撤去に係るご負担は相当大きいものと認識しておるところでございます。現在、当市では果樹農家のお手伝いをするアグリサポート事業も展開しておりますので、こうした作業もサポート事業に含めていただけないか、アグリサポート運営委員会と協議、検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
o 議長(小林 隆利君)中村議員。
〔4番 中村 悠基君登壇〕
o 4番(中村 悠基君)答弁でもありましたが、カラスのおりの管理費用として、ある猟友会支部では年間15万円、1日当たり換算しますと約410円が支給されております。意外に思われるかもしれませんが、カラスの駆除のためのおりの管理には生きたカラスを入れなければならず、その生きたカラスのために、毎日、餌、水を上げるなど手間がかかり、管理が必要となります。これらを考慮すると、被害額と照らし合わせても、1日410円でつり合わないのではないのかと思います。農家の手取り向上のためにも、ぜひカラス対策に本腰を入れていただければと思います。
続きまして、6次産業化とも関連してきますが、椀子ワイナリーについて質問いたします。椀子ワイナリーへの各種インフラ整備計画について、市として6次産業化やワインを推進するわけでありますが、本来の目的である農家の所得向上ではなく、大企業へのお金の分配ならないか。椀子ワイナリーに関しては運営会社のメルシャン株式会社の前年度純利益は39億円、さらに100%株を保有しております親会社のキリンホールディングス株式会社は前年度純利益が2,420億円の誰もが知る大企業であります。そして、メルシャン株式会社、キリンホールディングス株式会社ともに上田市の企業ではなく、東京都の中野区に本社を置く一企業であります。法人税に関しては、上田市には一切入ってこないのが現状であります。今回、上田市民の税金を使ってまでインフラの整備をする必要があるのか、疑問に思うところもあります。平成30年度補正予算にも計上されておりますが、椀子ワイナリー関連で水道管理事業9,000万円、道路整備事業801万1,000円、地域活性化事業に47万6,000円、合計9,848万7,000円の予算が計上されております。地域からの要望などもあり、実施に至ったのであると思います。荒廃していたススキ畑を農地として利用する、景観の維持などで地域に貢献していることも確かであります。しかし、それとこれとはまた別の話で、市民の税金を使って道路の整備などする以上、一定程度、地域に還元していただく仕組みもメルシャン株式会社と交渉していただくことが必要かと考えます。そこで、5つ質問いたします。
1つ目、椀子ワイナリーで雇用される人数を把握しているか。
2つ目、椀子ワイナリーで雇用される方の雇用形態を把握しているか。
3つ目、椀子ワイナリーが建設されることで、上田市のほかの産業にどのくらいの経済効果があると予測しているか。
4つ目、椀子ワイナリーに来る方はどの地域から、どのくらいの方がといった予測はあるか。
5つ目、道路や下水道の整備などインフラ整備を市が行うことになった経緯はどうか。
以上5点についてお伺いいたします。
o 議長(小林 隆利君)手塚丸子地域自治センター長。
〔丸子地域自治センター長 手塚 明君登壇〕
o 丸子地域自治センター長(手塚 明君)椀子ワイナリーの建設に関するご質問を何点かいただきました。順次ご答弁申し上げます。
まず、雇用についてでございます。ワイナリーの建設につきましては、観光拠点としてにぎわいが創出されることに期待すると同時に、遊休荒廃農地の解消と地域振興を望んでいた地元関係者の皆様の長年の悲願でもありましたことから、非常に喜ばしいことであると受けとめておりまして、観光面だけでなく、雇用につきましても重要なこととして関心を持っております。
ご質問いただきました雇用人員や雇用形態など、現時点では具体的な雇用計画は示されておらず、不明な状況ですが、地元からも雇用が創出されれば、ワイナリーが地域により親しまれる存在になるものと思われますので、地元雇用につきましても働きかけを積極的に行ってまいりたいと考えております。
次に、ワイナリーの経済効果及び来訪者に関する予測についてご質問いただきました。市としましては、特に予測は立ててはございませんが、メルシャン株式会社によりますと、来訪者につきましては、当初は年間3万人程度見込んでいるとのことでございます。来訪者の状況につきましては、平成28年度に実施されました千曲川ワインバレーをめぐる循環バス実証事業における検証結果を参考にいたしますと、県外から訪れた方が約7割で、そのうち約4割が東京都在住であったことから、椀子ワイナリーにつきましても、おおむね同様の傾向になるものと推測しているところでございます。
また、県外からの来訪者の半数以上の方が当地域内で宿泊している状況であったことから、ワイナリー見学だけで終わらないよう、地域内への宿泊、回遊につなげる取り組みを行うことで波及効果が期待でき、千曲川ワインバレーの一員として広域的な連携を図ることで、さらに効果が高まるものと考えております。 次に、道路や下水道などインフラ整備を市が行うことになった経緯についてご質問をいただきました。ワイナリーは、大型観光バスの受け入れを想定した計画が示されましたことから、来訪者の安全や利便性の確保の面から、アクセス道路や周辺環境の整備などについて、早急に対応する必要があると考えております。また、ワイナリー建設予定地に隣接して、多くの市民の皆様が利用されている天下山マレットゴルフ場があり、車両の通行も多いため、地元自治会からの要望も踏まえた道路整備を計画し、安全対策を講じることとしたところでございます。
下水道につきましては、現在、農業集落排水、藤原田地区の公共下水道への統合を進めているところでありまして、工事着手は平成31年度を計画しておりましたが、1年前倒しすることにより計画流域にあるワイナリーの排水を受け入れることができるため、本年度に一部工事を実施することとしたところでございます。
以上でございます。
o 議長(小林 隆利君)中村議員。
〔4番 中村 悠基君登壇〕
o 4番(中村 悠基君)椀子ワイナリーについては、ぜひ上田市の発展に寄与していただき、そして行く行くは上田市に納税していただけるよう交渉をお願いしたいと思います。
続きまして、上田市でも推進しております6次産業化の方向性について、現在、長野県内で推進している千曲川ワインバレー構想は、新規就農者が参加するには大変厳しいものがあり、そもそも新規で農業を始めて、経営が安定しないにもかかわらず、ワインの醸造施設など多額のお金がかかること、そして売れるかどうかわからないワインをつくることは大きなリスクを伴います。しかし、上田市もワイン特区となっておりまして、6次産業化ワイン醸造を進めていくのであれば、新規就農者が夢を持ち、上田市に移住してきた際に夢を実現できる環境を整備してあげることが重要ではないでしょうか。6次産業化は設備投資に莫大なお金がかかるため、農家単独ではなかなか難しく、しかし、そんな農家こそ所得を上げるためには、高付加価値化が必要であります。そこで、各農家への6次産業化の支援ではなく、お隣の東御市で例えるならば、味の里とうみなどがありますが、上田市としても6次産業化を推進していくのであれば、そのようなワインの共同醸造施設や共同加工施設など、個々の負担は少なくチャレンジできる機会が必要なのでないかと思います。そこで、3点質問いたします。
1つ目、6次産業化を推進する主たる目的は何か。
2つ目、6次産業化に取り組みたいと考える農家はどれくらいいるか。また、既に取り組んでいる農家はどれくらいいるか。
3つ目、市の施設として6次産業化の施設を市でつくることはできないか。
以上3点、答弁願います。
o 議長(小林 隆利君)中澤農林部長。
〔農林部長 中澤 勝仁君登壇〕
o 農林部長(中澤 勝仁君)6次産業化を推進する主な目的は何か、また6次産業化に取り組みたいと考えている農家はどれくらいあるか、既に取り組んでいる農家はどのくらいあるかについてお答え申し上げます。
農業の6次産業化を推進する主な目的は、地域の資源を活用し、地域の農林水産業に新たな付加価値を創造することによって、農業所得の向上や持続可能な農業の再構築を図り、もって地域活力の向上を目指すことにあります。6次産業化の主体は、生産者や事業者の皆様でありますので、意欲的に6次産業化に取り組めるよう、上田市におきましては、昨年、上田市6次産業化等に関する戦略を策定し、国の交付金等を有利に活用できるよう環境を整えたところでございます。
6次産業化と聞いて、大がかりな加工施設を導入するというイメージを持たれる方も多いと思いますが、6次産業化は生産した農産物に付加価値をつけたり、農業所得を向上させることが目的の一つでありますので、例えばリンゴ農家が生産したリンゴをジュースやジャムに加工することで付加価値をつけ、近くの農産物直売所で販売する、こういったことも6次産業化の一つの姿でございます。
市内の主な8つの農産物直売所に確認いたしましたところ、出荷登録者の約8%に当たる約200名の方が加工品の登録をしており、品目も、ジュース、ジャム、ドレッシング、みそ、漬物、おやき、ドライフルーツ、エゴマ油など多岐にわたっており、身近な6次産業化はある程度進展しているものと思われます。今後、取り組みたいと考えておられる農家も若干おられるとお聞きしておるところでございます。
しかしながら、みずから加工施設を導入し、製造ラインを構築し、農家レストランを運営したいといった大がかりな事例は少なく、国の6次産業化の総合化事業計画の認定事業者数は、市内で3事業者となってございます。また、相談件数も年に数件程度にとどまっておりますことから、ニーズの掘り起こしにさらに努めてまいりたいと考えております。
次に、6次産業化の施設を市でつくることはどうかというご質問でございます。6次産業化の施設の整備につきましては、市に対しまして各地域や各団体から要望が寄せられており、加工施設の必要性は認識しておるところでございます。しかしながら、生産した農産物に対しまして、どのような加工を施して付加価値を確かめていくのか、販路をどうするのか、個人経営の農家の場合、6次産業化に向けた資金や労働力をどう確保していくかといった点が、民間、行政ともに6次産業化を進める上での共通の課題になっているのではないかと考えてございます。
一方、公設による施設の場合には、平等性や公平性の担保、利用者が求める多種多様な製造ラインへの対応、費用対効果などさまざまな事情を勘案しなければならず、現時点におきましては、公設による施設を整備することは難しいと考えております。今後とも総合的な視点で調査、検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
o 議長(小林 隆利君)中村議員。
〔4番 中村 悠基君登壇〕
o 4番(中村 悠基君)先日、県の6次産業化推進委員の方とお話しした際には、夢を持ってワインをつくりに他県からもたくさんの就農者が長野県に就農しているが、その本人に対して、あなたでは無理だと、大勢の人に言っていると申しておりました。推進委員の方がそう言わなくても済むように、市として6次産業化を推進していくのであれば、しっかりとこれから新しい産業として支援し、新たな挑戦者がこの上田市に根づくよう考えていただきたいと思います。
続きまして、新規就農者について質問いたします。先ほど申し上げました新規就農者が夢を持って、農業、そして6次産業化に取り組むためにも、就農者の所得をふやし、安定させることが必要ではないかと考えます。現在、新規就農者支援制度である農業次世代人材投資事業というものがあり、この国の制度では、前年度の農業所得が100万円未満では、満額の補助金150万円が最大5年間支給され、所得がふえていくごとに交付される金額は減り、350万円を超えると補助金がなくなるという制度でございます。この制度の問題点は、所得が多くなれば補助金をもらえないため、所得を抑えようとする思考が働くところにあります。さらに、新規就農者が借り入れできる資金の大半は、無利子、無利息、据置期間5年から7年程度の資金であり、就農6年目の補助金がもらえなくなる時期は、就農時に借りた借金の返済が始まる時期でもあります。
そこで、新規就農者が安定して生活でき、さらに売り上げを伸ばし、所得をふやすために、所得水準を上げたくなる目標を掲げることができないかと考えます。例えば就農時に購入したトラクター500万円を、5年後に所得が500万円以上になり、さらに3年間、所得水準が維持された場合において、その購入額の一部を補助するなど、所得を抑えることではなく、所得をふやす方向に進みたくなるような施策が必要ではないかと考えます。所得がふえるということは、農家の経営も安定し、市としては税収もふえる、新規就農者の確保、定住に貢献する制度になるのではないのかと思います。そこで、2点質問いたします。
1つ目、農業次世代人材投資事業による資金交付者のうち、離農した人数はどうか。また、離農した原因を把握しているか。
2つ目、所得水準を上げるための目標を設定することはできないか。
以上2点を伺います。
o 議長(小林 隆利君)中澤農林部長。
〔農林部長 中澤 勝仁君登壇〕
o 農林部長(中澤 勝仁君)農業次世代人材投資事業による資金交付者のうち、離農した方の人数、また離農した原因を把握しているかとのご質問でございます。加えて、所得水準を上げるために制度の見直しについて検討できないかというご質問にお答えいたします。
平成24年に創設されました農業次世代人材投資事業は、2023年までに20歳代以下の農業従事者を40万人に拡大するという国の政策で、上田市では平成24年度以降、35経営体が国の資金交付を受けまして、そのうち残念ながら2経営体が離農しておるといった状況でございます。離農の原因でございますが、健康上の問題と経営不振によるものでございます。
新規就農者は大型ハウスや農業機械等購入による初期投資がかかる上、実力があっても、健康などに左右されやすく、安定した生産ができないことや、果樹など収穫そのものに数年を要する作物があるなど、資金交付が終了いたします6年目をめどとした独立就農は、そう簡単なことではないと認識しておるところでございます。
したがいまして、市では独立営農を後押しするためにも、経営が安定しない就業の初期段階においては定額の交付が必要と考えております。現在の前年所得に応じた変動交付ではなく、一定金額を一定期間交付することで生産意欲を高め、安心し営農できる仕組みとなるよう国等に働きかけてまいりたいと考えております。加えまして、市といたしましても、当制度を含め、国や県では行き届かない支援につきまして、育成から就農後までトータル的な市独自の支援策を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
o 議長(小林 隆利君)中村議員。
〔4番 中村 悠基君登壇〕
o 4番(中村 悠基君)ぜひ上田市独自のものをつくっていただければと思います。
続きまして、現在、国が進めている有望農業者への農地の集積の実務を担います農地中間管理機構と人・農地プランの運用、活用について伺います。
農水省のウエブサイトには、農業が厳しい状況に直面している中で持続可能な力強い農業を実現させるためには、基本となる人と農地の問題を一体的に解決していく必要があります。このため、それぞれの集落、地域において徹底的な話し合いを行い、集落、地域が抱える人と農地の問題を解決するための未来の設計図となする人・農地プランを作成しましょうとあります。そして、これから農業を大規模化し、稼げる農業を実現していくために農地を一旦農地の所有者から借り受け、それを有望農家に貸し与え、集積する役目を果たすのが農地中間管理機構であります。この人・農地プランに位置づけられることや農地中間管理機構を利用することは、各種補助金申請の際の審査項目にあるため、ただ実績づくりのために使われることもあります。しかし、本来の目的を達成することが、この地域の農業の発展にも寄与すると思います。そこで、4つ質問いたします。
1つ目、農地中間管理機構の事業の一部は市町村に委託されているが、上田市で委託されている業務はあるか。
2つ目、人・農地プランを作成することにより、どのようなメリットが生まれているか。
3つ目、人・農地プランでは毎年計画の見直しが必要とされているが、関係者との話し合いの機会はどの程度の頻度で設けているか。
4つ目、離農したいと考えている方が耕作している畑の状況を把握しているか。
以上4点について質問いたしまして、私の最後の質問といたします。
o 議長(小林 隆利君)中澤農林部長。
〔農林部長 中澤 勝仁君登壇〕
o 農林部長(中澤 勝仁君)農地中間管理機構の事業のうち、上田市に委託されている事業があるかというご質問でございます。
農地中間管理事業は、担い手に農地の集積、集約化を図ることを目的に平成26年から始まった事業で、農地の貸し手と借り手をマッチングする機関といたしまして、各都道府県に農地中間管理機構が設置されております。この機構を通じて農地を貸し借りした場合に、一定の要件はございますが、優遇措置がございます。当市では、農地中間管理事業の一部を上田市農業支援センターが業務受託をしており、貸し借りにかかわる書類の受け付け業務、借り受け農地の現地確認や登記の確認、予定農地の掘り起こし、事業啓発の説明会等の業務を行っております。
続きまして、人・農地プランを作成することでどのようなメリットが生まれるかのご質問でございます。人・農地プランは担い手農家の高齢化や後継者の不足など、人の課題と遊休農地がふえていることなどの農地の課題につきまして、行政やJA、地元農家が一緒になり、担い手などが効率よく農作業をするため、どこの農地を集めるか、また小規模農家を含めた地域農業のあり方などを話し合い、その内容を示したものが人・農地プランで、市では上田東、西部、塩田、丸子、真田、武石の6地区に細分化し、それぞれの地域ごとに人・農地プランを策定しております。
プラン作成によるメリットでございますが、地域農業の今後のあり方などを話し合いを通じ関係者一同が地域農業の実情を共有し、それぞれの立場で課題解決に向けて取り組むことが一番のメリットと考えております。加えまして、人・農地プランで中心となる経営体として位置づけられた方には、国の農業次世代人材投資資金や農業用機械等の導入補助などの優遇措置を受けることも可能となります。
次に、人・農地プランでは、毎年計画の見直しが必要とされるが、関係者との話し合いの機会はどの程度の頻度で行われているのか。また、離農したいと考えている方が耕作している畑の状況を把握しているかとのご質問でございます。人・農地プランは毎年見直すこととなってございますが、見直しのための懇談会は、各地域で、行政、JA、農業委員会、プランに掲載されている農業者の皆さんと年に数回実施するとともに、市内6地区にあります営農活性化委員会におきましても実施しております。こうした各地域の懇談会での意見を集約いたしまして、年1回、プランの見直し検討会を実施しておるところでございます。
市では、離農したい方の畑、耕作地でございますが、こちらにつきましては残念ながら把握しておりませんが、JAなどが主催する農地相談会や人・農地プランでの懇談会などを通じ、遊休化が懸念される農地につきましては、関係機関と連携する中で、今後とも農地として活用できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
o 議長(小林 隆利君)中村議員の質問が終了しました。